パルバティ・バウル〜黄金の河を渡って(109分)

 Parvathy BaulCross the Golden River (109m

古来 人間には二種類あるという。

“修行者”と“それ以外”。

両者の間に流れるといわれる黄金の河。

 

バウルは8世紀からインド・ベンガルに受け継がれる

“修行”の伝統をもつ吟遊行者。

 

彼女が発する“歌ごえ”は、修行に裏打ちされた“いのちの顕れ”。

渡河した者だけが知る豊穣な世界の在り処を、彼女はその“歌舞”から示してくれる。

 

圧倒的な存在感と響く歌ごえ、それはひと筋の光となって私たちの心を照らし出す。

上映予定

 

愛知国際女性映画祭

9月6日(金) 10:00~ 

『パルバティ・バウル 黄金の河を渡って』

上映・トークイベント(大会議室にて)

 

詳細は下記のリンクからご覧ください。

https://www.aiwff.com/2024/films/japan_special_offers/771/

黄金の河の向こう岸〜バウルの豊潤な世界へ

                              監督 阿部 櫻子

 

今でも彼女との初めての出会いを思い出す。私は30年以上前、インドの西ベンガル州の大学、シャンティニケトンに遊学していた。“地平線地区”を意味する“ディゴントポリ”と呼ばれる地区にあった私の家の前には、いつも赤茶けた地平線が広がっていて、空と雲と地平線の織りなす、ゆったりとした風景が窮屈な東京からやってきた私の心をいつも魅了していた。

その風景の中に突然飛び込んできたのが、この作品の主人公“パルバティ・バウル”だった。当時は“モウシュミー”という名前を持つ、16歳の女の子で、愛らしい笑顔を見せる普通の少女だった。

彼女はある日、突然「一緒に住まわせて」と言って現れ、一年余りを共に過ごした。その大学は、アジア初のノーベル文学賞を受賞したR・タゴールが創設した大学だったので、芸術学科が特に有名だった。しかし彼女はその入学試験に失敗し、寮には入ることができず、外国人と同居するという妙案を思いつき、浪人生活を送り、翌年希望通り合格した。

しかし画学生の暮らしは長く続かず中退、突如“吟遊行者“であるバウルに弟子入り。以来、彼女は今日まで托鉢、歌や踊りといった“修行”を中心とした生活を送ってきた。

そう、彼女は“河を渡った人”になった。“河”とは“修行者”と“修行者でない者”を隔てる黄金の河。この映画はその河の両岸を結ぼうと、製作が始まったが、“修行”という世界は、“解説”や“説明”とは本質的に異なる世界だ。とはいえ理解できないから、意味がないのではなく、むしろ触れれば触れる程、実りを得られる豊潤な世界だった。

 人は理解することで、問題を処理し忘れていく。処理できない事柄は、いつまでも心に残り、問いかけを続ける。パルバティ・バウルという存在は、いつまでも見ていたいような、惹かれ続ける地平線のような存在になった。多くの方々にこの映画を見ていただき、「バウル」そして、その生き方と存在に深く興味を持ってもらうことを願っている。

 

 

At the age of 16, Parvathy Baul had a vision and started on the path of a yogic tradition called "Baul". Bauls are minstrel yogis from the Indian state of West Bengal and Bangladesh. They dance and sing songs reflecting their unique philosophies while begging for alms, not belonging to any particular religion or sect. The word "Baul" means "crazy." Although they sing in public, the Bauls are not performers, but rather "practitioners" who use singing and dancing as their medium.  In November 2023, Parvathy, who has been on the path of spiritual practice for nearly 30 years, came to Japan for three weeks to share her practice and offered her songs at various sites. In this documentary, Parvathy shares her understandings she has cultivated as a practitioner on topics such as mantra chanting, singing, dancing, and the space for singing. The "Golden River" that separates "practitioners" from "others; this is a journey to seek the "life" known only to those who have crossed the river, through coverage with Parvathy Baul in India, Bangladesh, Japan, and the United States.

監督・制作:阿部櫻子

出演Parvathy Baul   Kanai Das Baul   Biswanath Das Baul   Debdas Baul Meera Dasi

梶原徹也 阿部一成 

音楽Parvathy Baul 梶原徹也 阿部一成

撮影:大谷耕太朗 阿部櫻子 村松辰哉 

ナレーション:阿部櫻子 編集:阿部櫻子 田中藍子 

歌詞翻訳Parvathy Baul Tomomi Paromita Sanatan Siddhashram Sevak Erick Gibson Sakurako Abe Saraswati Yogini

ベンガル語&ヒンディー語翻訳 Tomomi Paromita Sakurako Abe Sudip Singha

英語翻訳Tomomi Paromita  Erick Gibson Sakurako Abe

Woodcuts & Paintings: Parvathy Baul (Sanatan Siddhashram) Ravi Gopalan Nair (Ekathara Kalari)

イラスト:伊藤武 

録音:甲斐隆幸 大谷耕太朗 サウンドデザイン&ミックス:吉田茂一 カラーグレーディング:織山臨太郎 字幕デザイン:藤井遼介 Sanatan Das Footage Courtesy :Charles Steiner/Vagabond Video Provide Materials :CACTUS Co.,Ltd Pixta Co.,Ltd 1/3 さいたま市教育委員会 宣伝美術:島田薫 制作協力:美竹遊民舎 渡辺美智子 

制作著作:サキプロ2024